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ゆるキャラ(R)グランプリ2015とキャラクター商標
(2015年12月8日)

<新着コラム> by 永露祥生

ちょっとネタとしては出遅れた感がありますが、
ゆるキャラ(R)グランプリ2015」の最終結果が発表されていますね。

グランプリは、浜松市のマスコットキャラクターである「出世大名家康くん」(静岡県浜松市)。
準グランプリは「みきゃん」(愛媛県)、第3位は「ふっかちゃん」(埼玉県深谷市)・・・となっています。

ちなみに、有名な話ですが、「ゆるキャラ」は、みうらじゅんさん(有限会社みうらじゅん事務所)の
登録商標です。(※16類の一部の商品については、株式会社扶桑社との共有になっているようですが。)

さて、同業者の方は既にご存知かと思いますが、今回は我らが日本弁理士会のマスコットキャラクター
はっぴょん」も、実はエントリーされていました(笑)。

弁理士会からの報告によると、「はっぴょん」は、

・総合377位(1,727体中)
・企業・その他126位(635体中)

ということで、かなり健闘したと言えるのではないでしょうか!?

その前に、はっぴょんの着ぐるみいつ作ったの!?」とか、
はっぴょんって、足あったっけ!?」というのが個人的感想なんですが、
ちゃんとプロフィール紹介ページにも、

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所属:日本弁理士会
「はっ」とアイデアを思いついたら「ぴょん」とすぐに弁理士に相談します。
特許・実用新案・意匠・商標などの知的財産権の重要性をアピールするのが特技。
おたまじゃくしではありません。足も本当は生えていません

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と書いてあって笑いました(笑)。内部からもツッコミがあったんでしょうか。
ともあれ、来年もベスト100以内のランキングを目指して、頑張ってほしいですね。

・・・・・・・・・。

ところで、ここから少し真面目な話になりますが、このようなキャラクターについても、
他人の模倣や悪用から保護をするため、知的財産権が重要となるのは言うまでもありません。

「出世大名家康くん」や「はっぴょん」のようなキャラクターは、
通常、「キャラクター名」と「キャラクターイラスト」から構成されますので、
これらをどのようにして保護していくかということになります。

まず、「キャラクターイラスト」については、「美術の著作物」として、
著作権(著作権法)によって保護がなされることになります。
我が国では、著作権の発生には登録等の手続を要しない「無方式主義」が採られますので、
イラストの完成と同時に、著作権が発生することになります。

一方、「キャラクター名」については、著作物として著作権で保護することはできません。
したがって、もっとも保護が期待できる手段といえば、「商標登録」ということになります。

上記の「出世大名家康くん(登録第5710442号)」や「はっぴょん(登録第4586465号)」も、
しっかりと商標登録されていますね。

ちなみに、深い話では、「そもそもキャラクター名やキャラクターイラストは「商標」なのか」
ということが、我々専門家の間でしばしば議論になることがあります。
(私は、現在のキャラクター商品の取引の実情や、需要者が実際に何を目印に商品を求めているかといった点、
需要者がキャラクターとその商品を販売等している企業等を結び付けて把握・認識している傾向が強い点を
踏まえると、周知・著名性や使用態様などのその他の事情も考慮する必要があるとは言え、
これらの名称やイラストも十分に出所識別標識として機能し得ると考えますので、肯定派ですが。)

ただ、これらが「商標としての使用」となるかどうかは別として、少なくとも、
商標登録を受けていれば、その事実があることによって他者の軽率な使用を牽制できますので、
意義はあるでしょう。
また、キャラクターイラストについては、上述のように著作権でも保護は可能であるものの、
権利の性質や立証責任の便宜において、商標登録(商標権の取得)のメリットは十分にあります。

一方で、こういった「キャラクター商標」の商標登録については、

(1)どのような商標の態様で商標登録を受けるか
(たとえば、キャラクター名+イラストの結合を1商標とするか、個別にするかといった点)

(2)指定商品や指定役務をどこまで含めるか
(キャラクター商品は、様々な商品・サービスの分野まで広く展開される性質があるためです)

(3)単区分出願を複数するか、多区分出願を1つだけするか
(ライセンスの便宜や、類似性が微妙な先行商標が存在している場合の登録までのスピードを考慮)

といった点が悩みどころであり、予算や将来の事業計画等の面も含め、慎重に戦略を練る必要があります。

また、これには事業規模や、「何のためのキャラクターか」といった点からも検討する必要があり、
キャラクター商標の商標登録については、一般論があてはまらないこともあると言えます。

このような面もありますので、キャラクター商標について商標登録をご検討の際には、
まずは弁理士等の専門家にご相談されることをお勧めする次第です。