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商標審査基準(改訂第12版)の公表(2016年3月23日)

<新着ニュース> by 永露祥生

特許庁のホームページにて、「商標審査基準〔改訂第12版〕」が公表されました。
※商標審査基準〔改訂第12版〕:https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/kijun-kaitei/document/11th_kaitei_h28/12han.pdf

一般の方々にとっては、唐突感が否めないかもしれませんが、
平成28年4月1日以降の審査に適用されるとのことです。
昨年から適用されている第11版は、わずか1年の適用となりましたね・・・。

さて、今回の改訂は「45年ぶりに大幅に見直した」とも言われているようで、
全体的に様々な追加点、変更点、削除点が見受けられます。

特許庁のホームページでは、改訂のポイントとして以下が挙げられています。

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(1) 商標の使用について、法令に定める国家資格等が必要な場合において、
 当該資格を有しないことが明らかなときは商標法第3条第1項柱書に該当することを明記
 (商標法第3条第1項柱書)

(2) 書籍等の題号について、その商標が商品の内容等を認識させる場合について、
 具体的事情を明記(商標法第3条第1項第3号)

(3) 商標がその商品若しくは役務の宣伝広告又は企業理念・経営方針等を
 普通に用いられる方法で表示したものとしてのみ認識させる場合等の具体的事情を明記
 (商標法第3条第1項第6号)

(4) 使用による識別力に関し、近時の裁判例等を踏まえ商標や商品又は役務の同一性等について明記
 (商標法第3条第2項)

(5) 国・地方公共団体の著名な標章等と同一又は類似の商標の取り扱いについて、
 具体例とともに判断基準を明確化(商標法第4条第1項6号)

(6) その他
 1.近時の裁判例等を踏まえて、商標法第3条第1項各号に該当する例示を変更
 2.用語の統一化

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本コラムでは、上記のポイントについて簡単にチェックしていきたいと思います。

今回は、(1)の商標法第3条第1項柱書について。

改訂第12版では、以下の事項が追加されています。

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2.「使用をする商標」について
(2) 指定役務が、例えば、次のような場合には、商標を使用できない蓋然性が高いものとして、
本項柱書により登録を受けることができる商標に該当しないと判断する旨の拒絶理由の通知を行い、
出願人が指定役務を行い得るか確認する。

(例)
指定役務に係る業務を行うために法令に定める国家資格等を有することが
義務づけられている場合であって、願書に記載された出願人の名称等から、
出願人が、指定役務に係る業務を行い得る法人であること、又は、
個人として当該国家資格等を有していることのいずれの確認もできない場合。

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たとえば、指定役務を第45類「工業所有権に関する手続の代理」として、
弁理士・弁護士、特許業務法人ではない出願人が、
「○○○特許事務所」といった商標を出願した場合、
このような拒絶理由通知が発せられる、ということだと思われます。

なお、第12版では、第11版まで存在していた以下の記載が削除されています。

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1.「自己の業務に係る商品又は役務について使用」をしないことが
明らかであるときは、原則として、第3条第1項柱書により登録を
受けることができる商標に該当しないものとする。

(例)
① 出願人の業務の範囲が法令上制限されているために、
出願人が第5条第1項第3号で規定する指定商品又は指定役務
に係る業務を行わないことが明らかな場合

② 指定商品又は指定役務に係る業務を行うことができる者が法令上制限されているため、
出願人が指定商品又は指定役務に係る業務を行わないことが明らかな場合

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例がわかりにくい規定ではありましたが、審査基準からは削除されていても、
これまでと同様に第3条第1項柱書該当となるのではないかと予想されます。

なお、改訂第12版では、第3条第1項柱書の「自己の業務」について、
『「自己の業務」には、出願人本人の業務に加え、出願人の支配下にあると
実質的に認められる者の業務を含む
。』という点が追加されており、
こちらが明確化された点の方がむしろ、実務上は重要になってくるように思います。

次回は、引き続き、書籍の題号等に関する規定(商標法第3条第1項第3号)
について見ていきたいと思います。