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音楽的要素のみの音商標に初の登録査定
(2017年9月26日)

<新着ニュース> by 永露祥生

特許庁のホームページによれば、音楽的要素のみからなる音商標の出願について、初めて登録査定が出されたということです。

今回、登録査定となったのは、以下の3つの商標です。

商願2015-029809号(大幸薬品株式会社)

指定商品は、第5類「胃腸薬」で、日本人なら誰もが知っている「タッタタタッタ タッタタタッタ タータタッタター♪」という、いわゆる「正露丸」のテーマ曲です。


商願2015-029981号(インテル・コーポレーション)

指定商品は、第9類「マイクロプロセッサ,ソフトウェアのプログラムが可能なコンピュータ用マイクロプロセッサ」で、テレビCMでおなじみの「タンッ タタタタンッ♪」というIntelのジングルです。


国際登録1177675号
(Bayerische Motoren Werke Aktiengesellschaft)

日本を指定国とするマドプロ出願からも国内登録となったようです。
指定商品は、第12類「Automobiles and parts thereof, included in this class」で、BMWのジングルです。

なお、これらの音商標の商標見本(譜面及びサンプル)は、上記の特許庁ホームページで公開されておりますので、ご参照ください。


コメント

平成27年4月から出願受付を開始した「新しいタイプの商標」の一つである「音商標」については、平成29年9月19日現在で約170件の登録が認められています。

「新しいタイプの商標」は、当時メディアで話題にはなったものの、あくまでも商品や役務の識別標識として機能し得る「商標」とならなければ商標登録は認められませんので、登録のハードルが高いものとなっています。

これまでに登録が認められた「音商標」についても、基本的に言語的要素が含まれていることから、商標の識別力が認められたと言えます。言語的要素を含まない、音楽的要素のみからなるものについては、需要者が、広告BGMや歌謡曲と認識するような場合は基本的に識別力が認められない(3条1項6号)とされているため、登録のハードルはとても高いと言えるでしょう。

音楽的要素のみからなる音商標に登録が認められるためには、少なくとも、「商標として機能し得ること」、「需要者に非常に広く知られていること」という厳しい要件を満たす必要があると考えられます。

今回、その難関を突破して、3件の音楽的要素のみからなる音商標に登録が認められました。これにより、音商標の実質的な商標権の効力はいったいどこまで及ぶのか、他の商標との類否判断は具体的にどのようになされるのかなど、今後の実務的課題解明の発展にも期待がかかると言えそうです。