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類似商品・役務審査基準(国際分類第11-2020版対応)の公表

<新着ニュース> 2019年11月27日

商標実務家には年末恒例ですが、今年も「類似商品・役務審査基準(国際分類第11-2020版対応)」が、特許庁のホームページに公表されました。
(https://www.jpo.go.jp/system/laws/rule/guideline/trademark/ruiji_kijun/ruiji_kijun11-2020.html)

この「国際分類第11-2020版」は、令和2年1月1日以降の出願に適用されます。

今回の変更点は、「参考訳変更」が多くを占めていますが、その他にも、実務上、大きな影響のある変更点を含んでおります。特に食品・菓子業界の方は、必ずご確認されることをお勧めいたします。

本年も、当職の方で「変更点一覧」を確認いたしましたので、本ページにて情報を取りまとめたいと思います。商標実務家の皆さまのご参考になれば幸いです。

なお、下記情報は、特に実務上の影響があると考える一部の変更点のみです。
その他にも細かな変更点がありますので、詳細は、上記の特許庁のサイトより、各自にてご確認をお願いいたします。
また、今後、更なる変更や修正・訂正が入る可能性もあります。
情報のご利用に当たっては、適宜特許庁のホームページもご確認ください。


1.実務への影響が大きい変更点

現在の第30類「菓子」が、「国際分類第11-2020版」からは第29類と第30類の2つの区分に分かれます。

・第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)」
・第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」

特許庁の説明によれば、「国際分類の変更に対応」した変更点ということです。
実務家にとっては、第30類「菓子」というのはお馴染みの表記でもあり、商品分類を説明する際の一例として挙げることも少なくないでしょう。今後は、願書に第30類「菓子」とは記載できないと考えられますので、様々な面で注意が必要です。

ところで、第29類に分類される菓子と、第30類に分類される菓子は、どのように判別するべきかという疑問が出てきます。特許庁によれば、「第29類に分類される商品の考え方」として、以下のように説明されています。

これまで第30類「菓子」として取り扱ってきた商品のうち、主として、果物、野菜、豆類又はナッツを主たる材料とし、それらの根本的な性質を変えない程度の煎る、煮る、焼く、揚げる等の加工及び調味をしてなる商品が、第29類の「菓子(果物、野菜、豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)」に該当します。

ここで、改訂後の類似商品・役務審査基準には、第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)」に含まれる商品として、以下が掲載されています。

・甘栗    ・甘納豆     ・いり栗
・いり豆   ・焼きりんご   ・ゆで小豆

これだけを見ますと、栗・豆などに加工や味付けをして、そのもの自体の形態や、本質的な部分は変わらないような菓子的な商品が、第29類に分類されているように窺われます。
ただし、特許庁によれば、以下の説明もされております。

なお、じゃがいも等の野菜等をチップ状等の形に成型したうえで加工及び調味をしてなる商品についても、その根本的な性質が変わるものではないため、第29類に分類されます

国際分類表によれば、たとえば以下が第29類に分類されるとされています。

・果実を主原料とするスナック食品(30A01 32F04)
・低脂肪のポテトチップス(30A01 32F04)
・ポテトチップス(30A01 32F04)

これによれば、スナック食品であっても、果物・野菜を主原料とするものについては、第29類に分類されると考えられますので、注意が必要と言えるでしょう。

第30類に分類される菓子は、第29類に分類される菓子以外の菓子ということになりますが、特許庁は「第30類に分類される商品の考え方」として、以下のように説明しています。

「アイスクリーム」や「あめ」、「クッキー」、「チョコレート」、「ドーナツ」、「パイ」等のように、「ペストリー及びコンフェクショナリー」又は「チョコレート」、「アイスクリーム、シャーベット及びその他の氷菓」に該当する商品は、その商品を構成する原材料の中で果物やナッツ等が最も大きな割合を占めてなる場合であっても、これまでどおり第30類に分類されます

すなわち、本商品表示中の「主原料」が指すものは、必ずしも、その商品を構成する原材料の重量の割合が最も大きいものとは限りません。

「主原料」というのが、必ずしも原材料の割合が大きいことを意味しないという点には注意が必要でしょう。たとえば、「チョコレートで覆われたナッツ菓子」は、本体の割合としてはナッツが多くを占めていますが、チョコレートでコーティングされていることによって、もはや「コンフェクショナリー」の性質に該当する商品と変わっていることから、第30類に分類されるとされています。

とはいえ、たとえば実際に身近にあるスナック菓子を考えてみても、上記のような基準だけでは第29類か第30類かの判断がし難いものも少なくないと思われます。今後、特許庁には、より具体的な分類基準を明示していただくことが期待されます。

最後に、以下のような特許庁の説明があります。

令和元年12月31日までに商標登録出願され、指定商品が第30類「菓子」で登録された権利については、令和2年1月1日から施行する商品及び役務の区分における第29類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものに限る。)」及び第30類「菓子(果物・野菜・豆類又はナッツを主原料とするものを除く。)」 が含まれます。

ということは、現在「菓子」についての商標登録を検討している場合、ケースによっては、今年中に出願しておいた方が、実質的に費用を節約することができると言えそうです。

ただ、「30A01」のほかにも「32F04」の類似群コードが付いている、たとえば上記の「果実を主原料とするスナック食品」とか「ポテトチップス」も、現在の第30類に含まれると考えてよいのかよくわかりませんし、もし含まれるということであれば「32F04」では重複登録の状態が生じる可能性もあるということになりそうです。
このあたりは、今後の実務上の取扱いを見守るしかありません。


2.新規追加

「国際分類第11-2020版」では、以下の商品・役務等が正式に追加されています。

・第9類「携帯情報端末の部品及び附属品」(11B01 11C01)
・第9類「携帯情報端末用カバー」(11B01 11C01)
・第9類「携帯情報端末用ケース」(11B01 11C01)
・第9類「携帯情報端末用ストラップ」(11B01 11C01)
・第9類「スマートフォン用カバー」(11B01 11C01)
・第9類「スマートフォン用ケース」(11B01 11C01)
・第9類「スマートフォン用ストラップ」(11B01 11C01)
・第41類「インターネットを利用して行う映像の提供」(41E02)
・第41類「インターネットを利用して行う音楽の提供」(41E03)

「携帯情報端末の部品及び附属品」となる商品や、動画配信・音楽配信に関連する役務が掲載されたことで、願書の記載がよりユーザーフレンドリーになると言えるでしょう。


3.表示変更

「国際分類第11-2020版」では、以下の商品・役務等の表示変更がなされました。

・第6類
 「金属製金具(「安全錠・金属製鍵・鍵用金属製リング・南京錠」を除く。)」
→「金属製金具(「安全錠・鍵用金属製リング・金属製鍵・南京錠」を除く。)」

・第20類
 「靴保護金具(金属製のものを除く。)」
→「靴保護具(金属製のものを除く。)」

・第42類
 「デザインの考案(広告に関するものを除く。)」
→「デザインの考案」

上の2つについては、実質的な影響はほとんどないでしょう。

第42類「デザインの考案」は、2016年版より「デザインの考案(広告に関するものを除く。)」に変更された経緯がありますが、今回の変更で元に戻ることになります。この4年間の間に商標登録されたものについては、今後、権利範囲がややこしくなることが懸念されます。


4.削除

「国際分類第11-2020版」では、以下の商品等の削除がなされました。

・第28類「昆虫採集用具」
・第30類「砂糖漬け」

実務上の影響としては、ほとんどないものと思われます。
なお、国際分類表には、第29類に「砂糖漬け果実」があります。


5.その他

国際分類表では、以下のような商品・役務等の追加または変更があるようです。
ご参考までに、その一部を掲載いたします。

・第10類「医療用マスク」
・第29類「ポテトチップス」
・第30類「スイーツ」
・第30類「コンフェクショナリー」
・第30類「ペストリー」
・第35類「パンの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
・第35類「商品見本市の企画・運営」
・第35類「広告用コンセプトの開発」
・第36類「不動産業務」
・第36類「インターネットを介して行う事業プロジェクトの資金調達を目的とする出資・融資の募集・仲介・取次(クラウドファンディング)」
・第37類「携帯電話機のバッテリーへの充電」
・第38類「スマートフォンの貸与」
・第38類「ポッドキャスト方式による通信」
・第38類「遠隔会議用通信端末による通信」
・第38類「ビデオ会議用通信端末による通信」
・第41類「教育の分野における情報の提供」
・第41類「娯楽分野における情報の提供」
・第41類「レクリエーション活動に関する情報の提供」

まとめ

今回の変更点としては、やはり「菓子」関連の商品についてが要注意でしょう。
また、第42類で引き続き「デザインの考案(広告に関するものを除く。)」と記載すると、商標権の範囲を狭めてしまう可能性があるため、願書の流用には注意する必要があるでしょう。