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数字で見る商標登録と商標登録出願(2020年版)

<新着コラム> 2020年10月15日

昨年9月のコラムでは、2018年にされた商標登録出願・商標登録の具体的な数字を考察してみました。新しい意外な気付きが、一つ位はあったのではないでしょうか。

今回は、昨年2019年にされた日本における商標登録出願・商標登録の具体的な数字を、引き続き見てみたいと思います。

「商標登録出願って、実際にどれくらいの数がされているの?」
といった疑問のある経営者の方には、特にご覧いただきたい内容となっております。

なお、統計情報については、特許庁の「特許行政年次報告書2020年版」を参考にしておりますので、より詳細を知りたい方はこちらもご覧ください。


1.2019年の商標登録出願の件数

昨年2019年の商標登録出願件数は、19万773件でした。
2018年の18万4483件よりも、5000件以上増加していることになります。

これは単純計算で、毎日約522件が出願されていることになります。

商標登録は「早い者勝ち」ですから、出願の手続が1週間遅れれば、3500件以上もライバルに先を越されることを意味します。
やはり、1日も早い出願完了が非常に重要と言えます。

なお、このうち中小企業による出願は、9万4532件と言われています。
2018年は8万9158件でしたので、約6%増加していることになります。

中小企業による出願件数が増加しているのは良い傾向ですが、やはり日本の中小企業の数が約358万社もあることを踏まえれば、まだまだ商標登録の認知率・利用率は低いと言わざるを得ないでしょう。今後の更なる増加に、期待がかかります。

ちなみに、中国では、2020年の上半期だけで約428万件が出願されたそうです。
昨年の上半期は約343万件でしたので、コロナ禍であっても圧倒的な数と言えます。


2.2019年の商標登録の件数

昨年2019年の商標登録件数は、10万9859件でした。
これは、出願されたもののうち、特許庁の審査をパスして登録料を納付した数です。

2018年は11万6547件でしたので、数としては減少したと言えそうです。
ただ、2018年より審査期間が若干伸びていることも影響していると考えられます。

近年は、審査結果が出るまでに通常約9~12か月かかっていますので、前年に出願されたものも相当数あると考えられます。よって、これらの数字は、上記の2019年に出願されたものの中で登録となった数というわけではないことに留意が必要です。

なお、中国では、2020年の上半期だけで約262万件が登録されたとのことです。
昨年の上半期は約351万件と言われていましたので、数としてはかなり減りました。
おそらく、新型コロナウイルス感染症拡大の影響があったものと考えられます。

とはいえ、わが国と比較すると、その数は圧倒的と言えます。
ちなみに、中国における有効商標登録件数は、約2700万件と言われています。


3.2019年の審判請求・異議申立ての件数

特許庁の審査で「登録を認めない」という判断(拒絶査定)がされても、不服申立ての手続として、「拒絶査定不服審判」を請求することができます。

昨年2019年に、商標登録出願の拒絶査定不服審判が請求された数は811件でした。
2018年の請求数は838件でしたので、わずかに減少したと言えます。

2018年と同様に、2019年もおおむね6~7割程度の請求が認められています
審判による登録審決率はやはり高く、請求を検討する価値は十分にあるでしょう。

なお、昨年2019年の「商標登録異議申立て」の件数は、384件でした。
2018年は417件でしたので、こちらもわずかに減少したと言えます。

異議申立てにおいて、登録取消決定となるのは相変わらず1割程度です。
依然として、成功率は低いのが現状です。

なお、上記統計情報の詳細や、無効審判などのその他の審判に関する統計は、前掲特許庁のウェブサイトをご参照ください。


4.おわりに

いかがでしたでしょうか。

昨年2019年は、2018年と比較して、商標登録出願の件数は増加しているものの、その他については若干の減少傾向にあるように感じられました。

今年は、わが国でも新型コロナウイルス感染症を原因として、商標登録出願件数にも大きな影響があることが考えられます。おそらく、審査期間にも多少の影響があることでしょう。

しかし、世の中がどのような状況でも、事業において商標登録は必須と言えます。
ぜひ、引き続き、貴社の大切な商標について、商標登録をご検討下さい。