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商標審査便覧の改訂(2021年3月)

<新着ニュース> 2021年3月25日

特許庁より、「商標審査便覧の改訂」が告知されました。
今回の改訂範囲は広くはありませんが、実務上、重要な点を含みます。

そのため本サイトでも、当該改訂についてお知らせいたします。

今回の改訂内容は、以下のとおりです。

(1)優先権主張の効果に関する審査運用の見直し(15.01)
(2)指定商品又は指定役務の審査運用の見直し(46.01)

上記(1)は、主に出願人が外国企業の場合に関係するものとなります。
よって、今回は上記(2)について、改訂内容を見ていきたいと思います

なお、(2)は、2021年3月22日以降に一次審査に着手される案件が対象となります。


1.改訂の具体的な内容

今回の改訂により、「指定商品又は指定役務の審査に関する運用について」(46.01)において、次のように取り扱われることになりました。


5.
① 願書に記載された指定商品又は指定役務について材質や用途等の記載がない場合に、区分を考慮すれば材質や用途等が特定できるときは、その商標登録出願は、第6条第1項及び第2項の要件を具備すると判断する。

② 上記①により、第6条第1項及び第2項の要件を具備する場合に、当該指定商品又は指定役務を他の区分の指定商品又は指定役務に補正又は分割することは、要旨変更又は原出願には含まれていない商品を分割したケースに当たることから、認められないものとする。

上記①については、以下の補足説明がされております。

 例えば、第6類において「郵便受け」の指定商品が出願された場合に、「金属製郵便受け」は第6類に、「石製郵便受け」は第19類に、「郵便受け(金属製又は石製のものを除く。)」は第20類に属するように、その材質によって区分が異なるが、このような例は、区分を考慮すれば、上記指定商品は「金属製郵便受け」であると特定できる明確な商品の表示であることから、商第6条の要件を具備するものと判断する。

また、上記②については、以下のように補足説明がされています。

 例えば、「第6類 郵便受け」を「第19類 郵便受け」又は「第19類 石製郵便受け」に補正又は分割する等の手続については、要旨変更又は原出願には含まれていない商品を分割したケースに当たることから、認められないものとする。


2.コメント

上記のような運用とされることで、結果として、6条に関する指令や通知が減り、(一部の)出願人の便宜や、特許庁の事務負担の軽減につながるものと考えられます。

一方で、「区分を考慮すれば材質や用途等が特定できるとき」という要件が、具体的にどのような場合を言うのかが、上記「郵便受け」の例だけではよくわからない気がします。

たとえば、上記例の「郵便受け」の場合は、第20類に「郵便受け(金属製又は石製のものを除く。)」があるので良いですが、商品が「彫刻」の場合は、類似商品・役務審査基準等には、そのような表示はありません。そして、「彫刻」の場合、第20類には、「プラスチック製彫刻」、「木製彫刻」、「石こう製彫刻」、「骨製彫刻」、「竹製彫刻」など、様々な材質の「彫刻」が含まれます。なお、「金属製彫刻」は第6類、「貴金属製の彫刻」は第14類、「大理石製彫刻」や「コンクリート製彫刻」、「石製彫刻」は第19類に含まれます。

では、第20類に「彫刻」という指定商品を記載すると、どうなるのでしょうか?
この場合、「区分を考慮すれば材質や用途等が特定できる」とは言えないとして、従来通り、やはり6条違反として補正指令が出されるということでしょうか。

逆に、第6類や第14類に「彫刻」を記載した場合はOKなのでしょうか?
第19類に「彫刻」を記載した場合はどうなるのでしょうか?

これらの点、審査便覧には、もう少し具体例を多く挙げてほしいと思います。

なお、①の運用により6条の要件が認められると、②によって区分を超える補正はもはやできないということになりそうです。つまり、もし商標登録をしたい商品の区分を間違って指定してしまった場合、①の適用を受けると、本来意図していた商品が含まれる区分に変更する補正ができなくなってしまうと言えそうです。ケースとしては稀かもしれませんが、この点は注意が必要でしょう。

また、①の運用が認められて商標登録となった場合、商標権の専用権の範囲や、不使用取消審判における「指定商品についての使用」の確認が煩雑になり、一般的なユーザーにとってはかえってわかりにくいものになるのではないかという点も、実務家の立場からすると懸念されるところです。

今回の改訂は「審査効率化及びユーザー負担軽減の観点」によるものとされておりますが、これらの点を踏まえますと、個人的には、特許庁の事務負担の軽減に重きが置かれている印象があり、はたして広い視点で商標実務の実際を考慮した上でのものであるのか、やや疑問であります。

基本的には、従来通りの指定商品の記載を意識した方が無難でしょう。


3.関連リンク

今回の商標審査便覧の改訂については、以下もご参照ください。

・「商標審査便覧の改訂のお知らせ

・「15.01 優先権主張を伴う商標登録出願に関する優先権主張の効果の審査について

・「46.01 指定商品又は指定役務の審査に関する運用について