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失敗事例6:登録商標を変更して使用していたことによる失敗

※ご注意:本ページでご紹介するのは、起こり得る失敗を想定した架空の事例です。
  実在の具体的な事例をご紹介するものではありません。以上をご了承の上、ご参照ください。


事例の紹介

Nは、個人事業主であり、事務所名として商標「ASTERMARKS」を使用していた。
Nは、開業に先立ち、当該「ASTERMARKS」の商標登録をきちんと済ませていた

半年後、Nは当該商標をかっこ良くロゴ化しようと考え、デザイナーに依頼した。
デザイナーの作成したロゴは、先頭の「A」の文字をかなり大胆に図案化して、
アレンジしたことを特徴とするもの
だった。
Nはこのロゴをとても気に入り、以来、すべてのサービスに使用していた

3年後、特許庁から、Nの保有する登録商標「ASTERMARKS」に対して、
不使用取消審判が請求されたとの通知が届いた。

Nは、
「こんなに商標としてたくさん使っているのに、不使用取消審判とはとんだ茶番だ・・・」
とばかりに、使用証拠を適当に挙げ、答弁書を提出した。
Nは、絶対に審判で勝てる自信があった

しかし、審決では、Nの登録商標「ASTERMARKS」は取消となった

取消理由は、提出された使用証拠の中で使用されている商標は、
「図形」と「STERMARKS」という文字が結合されたものであって、
「ASTERMARKS」と社会通念上同一の商標が使用された事実は見受けられない
というものだった。

なん・・・だと・・・!?」。
Nは送られてきた審決謄本を見て唖然とするのであった・・・。


教訓(当事務所からのアドバイス)

商標登録をした商標に変更を加えて使用していた結果、不使用取消審判で商標の同一性が認められず、
結果として登録が取り消されてしまった事例
です。

お気付きの方もいたかもしれませんが、本事例は、当事務所を架空設定して多少おおげさに紹介しております。
しかし、似たような事例は実在しており、「商標登録後の商標の使い方」にも、
十分な注意が必要であることの教訓となります。

商標登録をした商標については、基本的には登録した態様のままで使用するべきです
そして、ロゴ化するなどして、使用する商標に変更を加える場合には、
客観的にそれが社会通念上同一と言える範囲を超えていないかに留意することが重要です。

本事例では、「ASTERMARKS」の商標を、デザイン化しすぎたことが失敗でした
特許庁は、「A」の文字が図案化されることによって、もはや「A」の文字と認識できないと判断したのです。

Nとしては、この商標に愛着がありますし、ロゴ化の経緯も知っていますので、
図案化後も当然に「A」の文字と認識できていました。
しかし、このように判断が主観的になってしまうことは多々ありますので、商標に変更を加える場合には、
一度冷静に第三者からの意見を聞いてみるなどの手当てをすることが大切です

もう一つのNの失敗は、自己の商標として、すべて上記ロゴ化したものを使用していた点にあるでしょう。
本事例のような不使用取消リスクも考慮して、
誰がどう見ても「ASTERMARKS」である商標を、Nはどこかで使用しておくべきでした