| サイトマップ | | プライバシーポリシー |

お問い合わせはこちら

新規開院の季節、そのクリニック名は大丈夫ですか?

<新着コラム> 2023年3月23日

新年度が近付き、新しい生活・環境を迎える人も多いことと思います。
新たに事業を始めよう、チャレンジしてみようという方も少なくないでしょう。

さて、クリニックも新規開院が多い時期のようです。
最近当職も、地元のクリニックの新規開院を告知するチラシや記事などによく接します。今年は、特に多い印象です。

しかし、このような広告等に接した際、職業柄どうしても気になるのが、それらの「クリニックの名称」です。特に、造語的なクリニック名の場合です。造語的というのは、たとえば「紫苑クリニック」のような名称です。

最近は、差別化のためか、造語的なクリニック名が採用されることも少なくない気がします。ですが、当職のような「商標の専門家」からすると、一見して、「これ、大丈夫なのかな・・・」と思うことが実はよくあります。

この「大丈夫なのかな」というのは、他人の「商標登録」との関係での話です。つまり、直感的に、「この名称は、他人がすでに商標登録をしているのでは?」と感じられることが少なくないのです。



1.商標調査、ちゃんとしましたか?

新規開院かどうかにかかわらず、当職がクリニック名を目にして、直感的に他人の商標登録の存在が気になるということは、実は少なくありません。

「造語的」とはいえ、クリニック名のネーミングには、好まれる語や、よく使われる語があるため、意外と発想がかぶりやすかったりするものです。その結果、似たような名称となることも少なくないでしょう。

そして、実際に調査をしてみたら、「予感的中」ということも結構あります。
幸い、まったく同一のクリニック名についての他人の登録商標があることは稀なのですが、類似性の観点で「グレー」と言えそうな登録商標が存在しているケースが意外とあるのです。

業界的に考えれば、直ちに商標権侵害を指摘されるなどの問題になることはおそらくあまりないであろうと思われますが、相手に足元を見られてしまうと、後々やっかいなトラブルに発展することも否定できないように思われます。

もし、クリニック名を決める段階で、当職のような商標の専門家にご相談いただけていれば、このような商標調査の結果を踏まえ、現在のクリニック名を採用することは、お勧めしなかったことでしょう。

このようなクリニック名を採用した先生方は、おそらくは商標調査をしなかったか、したとしても杜撰な調査(自力でやった、調査能力のない者に依頼してしまった等)であったのではないかと推測されます。そもそも、他人の商標登録のことまで気が回らなかっただけという可能性もあるかもしれません。

しかし、当職の経験上、実はこのようなことは決して少なくありません。
今回は「クリニック」を話題としていますが、他の業種でも同様です。

知らぬ間に、他人の商標権を侵害していたら大変です。
これが発覚してトラブルに発展すれば、名称変更も検討せざるを得ません。
下手をすれば、損害賠償請求をされる可能性もあります。

クリニック名の変更は、手続面でも負担が大きいでしょう。
看板なども変える必要がありますから、費用面での負担も小さくありません。
なにより、その名称でそれまでに蓄積してきた患者さんの信用が、いったんゼロに戻ってしまうようなものです。この点が、ある意味でもっともダメージが大きいと言えるかもしれません。

商標調査」という一手間をかけることで、こういった大きなリスクを回避し得ます。どんな商標を採用する場合も同様ですので、ぜひ覚えておいていただきたいポイントです。



2.クリニック名の商標調査をするには?

商標調査は、「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)」というインターネット上のデータベース等を利用することで可能です。このデータベースは、誰でも無料で使うことができます。

しかし、商標調査は誰でもすぐにできるほど簡単なものではなく、精度の高い調査をするためには、それなりの専門的な知識と経験が必要になります。「生兵法は大怪我のもと」ではありませんが、一般の方が自力で商標調査をするというのは、当職からすれば到底お勧めできるものではありません

データベースを利用して「検索」するだけなら誰でもできますので、一見すると自分でも調査ができそうに錯覚しますが、実際はそんなに甘くはありませんので、注意が必要です。このような点は、医師の先生方には、お仕事柄むしろご理解していただきやすいかと思います。

商標調査は、やはり専門家である「弁理士」に依頼するのがベストです。
特に、「商標分野を専門とする弁理士」に依頼するのが理想的でしょう。
同じ弁理士でも、調査の能力や経験はピンキリだからです。

弁理士の多くは、特許事務所で仕事をしております。
以下のサイトから、弁理士や特許事務所を検索できますので、商標調査をしたい場合は、ご自身と相性の良さそうな特許事務所等を探して、まずは一度ご相談をされるとよろしいでしょう。

弁理士ナビ

当事務所でも、クリニック名の商標調査を承っております。
当事務所へのご依頼は、当職が丁寧に担当させていただきますので、もしよろしければご相談くださいませ。なお、ご相談は、本ページ下部の「関連リンク」先にあるメールフォームより承っております。



3.気になる他人の登録商標が見付かったら?

商標調査の結果、気になる他人の登録商標が見付かるかもしれません。
その場合は、どうしたら良いでしょうか?

まだクリニック名を最終決定する前の段階である場合は、新しい名称を再考するのが無難でしょう。もちろん、新しく考えた名称についても、決定前に商標調査を実施してください。

一方、すでに開院してクリニック名を使い始めている場合には、個別具体的な状況を考慮した上で、今後の対応を検討していくことになるでしょう

さすがに、まったく同じという場合は厳しいですが、少し似ている程度であれば、ご自身が現在のクリニック名について商標登録を試みるというのも一策です。商標登録に成功すれば、実質的に安心・安全な使用が保証されます。

将来的なトラブルの未然防止のためにも、ぜひ商標登録を試みることをご検討いただきたいところです。

いずれにしても、弁理士に商標調査を依頼していれば、一般的には何らかのアドバイスがあるはずです。このように、いざ何か問題があった場合の事を考えても、やはり弁理士を味方につけておくのが安心と言えます。

新規開院をお考えの場合は、ぜひ早い段階で一度弁理士にご相談くださいませ。



※:関連リンク

お医者さんのための商標登録
歯医者さんのための商標登録
クリニック名を決める前の商標調査と注意点