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お医者さんのための商標登録

ドクターの写真

お医者さんには、内科、外科、歯科、眼科、整形外科、皮膚科など様々な専門分野があります。そして、お医者さんの行なう医療行為は、公益につながる尊いものです。

その一方で、医業にも「サービス業」としての側面があると言わざるを得ません。
よって、ご自身の医療サービスを、他者のものと区別することが必要不可欠です。

そのために用いられる文字やマークなどの表示が、「商標」となります。
医業の場合、病院名やクリニック名、病院等のロゴマークなどが商標になり得ます。
ですから、お医者さんにとっても、商標をしっかり守っていくことは大切なのです。

そして、商標を適切に保護するためには、「商標登録」が役立ちます。

そこで本ページでは、病院、クリニック(診療所、医院)のお医者さんのための商標登録について、その役割や登録対象をご説明いたします。


1.商標登録が大切な理由

(1)商標登録のメリット

商標登録は、特許庁に申請をして、所定の審査をパスすることで認められます。
そして、商標登録を受けると、「商標権」という強力な権利が発生します。

商標権があれば、権利の範囲内で、その商標を独占して使うことができます

また、権利の範囲内で、他人がその商標と同じ商標・似ている商標を無断で使っている場合には、これをやめさせることができます

商標権の効力は、日本全国に及びます。
また、現実の世界だけでなく、ネット上の使用行為に対しても有効です。

お医者さんの立場からしてみれば、他のお医者さんともめるようなことは望まないでしょうし、そもそも多忙でそういった余裕もないと思います。ですので、商標トラブルの発生率としては、一般的な企業と比較すれば低いと言えるかもしれません。

しかし、インターネットで医療機関の名称を調べてみるとわかりますが、意外と同じような病院名や、似たようなクリニック名が存在しているといった実状もあります。

もし、患者さんがこれによって混乱してしまい、間違って別の病院に行ってしまうようなことがあれば、何とかしなければなりません。そのまま放置すれば、病院等の信用にも影響が出てしまいます。

そのような場合に、商標登録をしておけばスムーズな解決が期待できるでしょう。


(2)商標登録をしないリスク

たしかに、あなたの病院やクリニックが、地域密着で経営されている限りは、商標のトラブルに巻き込まれる可能性は低いでしょう。商標登録の必要性も、あまり感じられないかもしれません。

しかし、商標登録をしていないと、他人の商標権を侵害しているかもしれないというリスクがあることには、注意が必要です。

もし、商標権を侵害していた場合、あなたの病院が有名になったり、大きくなったりという大事なタイミングで、病院名などの使用中止を求められる可能性もあるのです。

たとえ、地域密着で広く知られていなくても、インターネットが発達した現在では、ホームページなどから、同じ病院名や、似たような医院名を他者が使用していることは簡単に判明するものです。

このようなリスクがあることを考慮しますと、トラブル防止の保険という意味でも、商標登録が役に立つということをご理解いただけるのではないでしょうか。
ご参考:「商標登録をしないとどうなるのか


2.商標登録の対象になり得るもの

病院のイラスト

では、どのようなものが商標登録の対象になるのか、一例を見てみましょう。


(1)病院名などの医療機関の名称

病院名医院名クリニック名などの名称は、商標登録の対象となります。

ただし、ありふれた名字や地域名と、「病院」「医院」「クリニック」等の語を組み合わせたような名称は、原則として商標登録を受けることはできないと考えられます。
こういった名称は、自他のサービスが区別できません(商標として機能し得ない)し、特定の人に使用を独占させるというのも妥当ではないからです。

たとえば、「山田病院」、「佐藤医院」、「田中歯科」、「横浜クリニック」等が、これに該当するでしょう。なお、このような名称は商標登録できませんが、自由に使用することは基本的に問題ありません

しかし、実際には、一見このような名称に該当する場合でも、商標登録が認められているケースも見受けられます。具体的な基準は不明確と言えますが、地域性・造語性・意味の多様性を特に含む名称の場合は、商標登録が認められる場合もあります。
ですから、まずは一度、商標専門の弁理士にご相談されることをお勧めいたします

他方、医療機関の名称が造語(たとえば、「アスター歯科クリニック」)でユニークとなる場合には、商標登録を受けられる可能性が比較的高いと言えますので、ぜひとも申請をご検討されることをお勧めいたします。


(2)病院等のロゴ図形、キャラクターの絵柄

近年は、多くの病院やクリニックが、オリジナルのロゴ図形(シンボルマーク)を採用しているのを見かけます。また、患者に安心感や親しみを抱いてもらえるように、オリジナルのマスコットキャラクターを作っているお医者さんもいるようです。

このようなロゴ図形やキャラクターの絵柄も、商標登録の対象となります。

ロゴ図形は、病院等の医療機関の名称と並べて表示することが多いでしょう。
これらをまとめて1つの商標として登録しているケースも、実務上多く見られます

なお、キャラクターの絵柄については、「著作権」が発生しているのが通常です。
事前に権利関係をきちんと確認・処理することを忘れないようにしてください。


(3)治療法の名称

「○○○療法」や、「○○○治療法」など、新しく治療法を開発した場合、このような名称について商標登録を受けることができる余地があります。

ただ、一個人のお医者さんが関わるケースは、あまり多くないように思われます。

その他に、あまり多くはないものと思われますが、オリジナルのサービス名称や、ネット上のサイト名などについても、商標登録の対象となる余地があります。


3.「早い者勝ち」のルールに注意!

「商標登録、そのうちやろうとは考えていて・・・」。
実は、このようなお医者さんが、意外と多いようです。

しかし、商標登録は「早い者勝ち」のルールであることに注意が必要です。
たとえ自分の方が先に使っていても、先に申請をした人に登録が認められるのです。

他人に先に商標登録されてしまった場合、当然、自分の登録はできなくなります。
また、引き続きその商標を無断で使い続ければ、商標権侵害にもなってしまいます

ですから、商標登録は迷っている余裕はありません。
1日でも早い申請完了を目指すことが、とても大切になります。

なお、特許庁のデータベースで医業分野の商標登録状況(2019年10月7日現在)を調べたところ、「○○○病院」は156件、「○○○医院」は48件、「○○○診療所」は15件、「○○○クリニック」は522件もありました。医療機関の名称としてはその他のパターンも考えられますので、実際にはもっと多いでしょう。意外と多くの商標登録がされていることがわかります。特に、クリニック関係の名称は多く要注意です。


4.商標登録の費用

商標登録には、費用がかかります。
審査で引っかからずにスムーズに登録が認められた場合、(1)申請時(2)登録時の2回のタイミングで支払いが発生します。

手数料額は、申請書に含める商品や役務の区分の数によって変動します。
すなわち、区分の数が増えれば増えるほど、手数料が加算される仕組みです。

具体的な金額は、以下のようになります。

(1)申請時:  3,400円+(区分数×8,600円)
(2)登録時:  区分数×28,200円  ※10年分の登録料です。

たとえば、1区分の場合は、(1)申請時に12,000円、(2)登録時に28,200円が必要です。よって、商標登録には最低でも40,200円が必要ということになります。

お医者さんに関する商標の場合、「医業」が含まれる第44類の区分を指定することですむ場合がほとんどです。よって、区分の数は「1つ」の場合が多いでしょう。

なお、特許事務所に依頼する場合(後述)には、これにサービス料金が加わります。
料金は特許事務所によって異なりますが、一般的には、最低でも7万~10万円程度が上記金額にプラスされることが多いようです。

また、審査で引っかかった場合等には、対応するにあたって、手続に応じた諸費用が発生する場合がありますので、ご留意ください。


5.弁理士(特許事務所)へのご依頼

商標登録は、お医者さんご自身でも申請から登録までが可能です。
しかし、はっきり言って、そこまで簡単なものではありません。

申請書の作成や手続方法は意外と煩雑ですし、特許庁から指令が来た場合には適切に対応する必要があります。自力でやるには、それなりの時間と労力が必要です

自分でやった結果、本来であればできたはずの登録を逃すことも少なくありません。
また、登録まで完了できたとしても、申請書の書き方をミスしていたり、制度を誤解していたりして、実質的に「意味のない商標登録」をしていることも少なくありません
(不幸にも、当人はこれに気付いていないことがほとんどです。)

ですから、商標登録はやはり専門家である弁理士へのご依頼をお勧めいたします。
そして、弁理士の中でも、特に商標を専門とする商標弁理士へのご依頼が理想的です。

なお、最近は特にネット上で、商標弁理士かどうかの見分けが難しくなっています。弁理士は商標を含む知的財産のプロですから、誰でも一応は「商標の専門家」と言えるからです。そのため、広告・宣伝でこのようなフレーズが使われることも少なくないようです。(同時に格安料金をウリにしていたら、特に要注意と言えます。)

きちんとした商標弁理士かどうかは、専門的な実務知識についての深い言及があるか(特に、自分の考えを述べられているか)や、日本商標協会(JTA)の会員であるか、商標実務に関する論文や寄稿があるかなどを参考にご判断ください。


当事務所がお手伝いできること

当事務所では、商標登録サービスをご提供しております。
当事務所は、日本でもあまりない商標専門の特許事務所です。
Eメールがご利用できる環境があれば、全国対応も可能です。

専門家に依頼することで、審査にパスできる可能性を高める申請書の作成や、商標を登録・使用する際の適確なアドバイスにご期待いただけます。
もちろん、時間や労力の節減にもつながります。

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