ざっくり知りたい！商標登録２（後編）

日本で行なった商標登録の効果は、日本国内でのみ有効です。
日本国内であれば全国に及びますが、外国にまでは及びませんので注意してください。外国でも、その国ごとに商標登録の制度が存在しているのです。

よって、外国で商標の使用を独占するには、その国でも商標登録を受ける必要があることに注意してください。

貴社が日本で商標登録をした商標とまったく同じ商標が、外国ですでに商標登録されている可能性もゼロではありません。これを知らずにその国で商標を使った場合、商標権侵害となってしまう可能性がありますので注意が必要です。

商標権の有効期間内であっても、途中で取り消されることがあります。

特に多いのが、以下の場合です。

（１）商標登録の妥当性に疑義がある場合（異議申立て、無効審判）

（２）続けて３年以上、登録商標を使わなかった場合（不使用取消審判）

なお、このような場合に、商標登録が自動的に取り消されるわけではありません。第三者からの要求や指摘があって初めて、取り消すべきかどうかを特許庁が検討します。もちろん、検討の結果、取り消されない場合もあります。

ただ、このような要求や指摘は、数としては決して多くはありません。上記（１）や（２）に巻き込まれた場合は「運が悪かった」と割り切って、特許事務所に相談する等、適切な対応を行なってください。

商標権も立派な財産権となります。
他人にあげることも、売ることも、自ら放棄することもできます。
他人に使用許諾（ライセンス）をしてライセンス料をもらうといった活用もできます。

なお、権利者が変わった場合などには、特許庁に所定の手続を行なうことが必要ですので、忘れないようにして下さい。手続が専門的になりますので、このような場合は、特許事務所にご相談されることをお勧めいたします。

商標と一緒に®が表記されているのを、よく見かけるかと思います。これは「Registered mark」の「R」の頭文字で、「登録商標」を意味する記号です。

もともとは米国等の諸外国で用いられてきた表記ですが、日本でも慣行的に使われています。日本では®について法律上決められたルールはなく、必ずしも使わなければいけないものでもありません。

ただし、商標登録を受けていない商標に®を付けると、虚偽表示の罪（３年以下の懲役または３００万円以下の罰金）となる可能性がありますので、注意してください。

なお、一般的に®は、商標の右上や右下に付けられることが多いようです。登録商標であることをアピールすれば、他人が勝手に使う行為を牽制する効果があると言えますので、商標登録を受けたら、積極的に表記するのがよろしいかと思います。

®と同様、よく商標と一緒に表記されている記号です。
「TM」は「Trade mark（トレードマーク）」、「SM」は「Service mark（サービスマーク）」を意味します。

これらは、商標登録がされていない商標（たとえば、登録申請後まだ登録が認められておらず、®を使えない商標）について、よく表記されているものです。

「Trademark」だけでも「商標」の意味がありますが、「TM」は特に商品に関する商標に、「SM」はサービスに関する商標に表記される慣行があります。なお、®と同様、日本では定められたルール等があるわけではありません。