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オンラインサービスも商標登録と関係がある

<新着コラム> 2023年6月19日

商標登録は、リアルな商品やリアルなサービスに使う商標だけに関係のある話だと、誤解している方が意外とおられるようです。たしかに、大昔はそうでした。

しかし、ITインフラが当たり前になった今の時代、商標登録は、インターネットを用いて事業を行なう場合でも、関係のある話となっています

オンラインサービスを提供したり、ホームページで宣伝広告をしたりする際に使う文字や図形なども、「商標」となり得ます。よって、これらも商標登録の対象になり得るということです

近年、コロナ禍の影響により、オンラインサービスは一気に増加しました。
オンライン診療を始め、インターネットを利用したスクール・塾・講座・家庭教師・英会話教室などのオンライン教室、オンラインセミナー、オンライン美容相談など、そのジャンルは様々です。

一方で、オンラインサービスを手掛ける事業者が増えたということは、そこで使われる自身の商標や他人の商標について、より一層留意する必要があるということになります。特に、自身の使用が他人の商標権を侵害していないかという点については、十分な注意が必要です

今回は、オンラインサービスと商標登録について少し述べてみます。



1.オンラインサービスと商標登録の重要性

近年、コロナ禍による影響で、サービス業、特に店舗型ビジネスを行なう事業者は大きな影響を受けました。その打開策として、独自のオンラインサービスを導入する事業者が多く見られるようになりました。

たとえば、医師によるオンライン診療、インターネットを利用したスクール・塾・講座・家庭教師・英会話教室などのオンライン教室、オンラインセミナー、オンライン美容相談などを挙げることができます。もちろん、この他にも様々なものがあります。

現在、世の中の状況も少しずつ落ち着いてきてはいますが、このようなオンラインサービスは今後もますます増加すると予測されます。すると、これらに独自のサービス名を付けたり、サービスに関するサイト名を付けたりする機会も増えると考えられます

上述のように、インターネットを用いて提供するサービスであっても、それに使う文字や図形などは「商標」になり得ます。つまり、そのようなサービス名やサイト名なども、商標になる得るわけです。ということは、オンラインサービスを行なう事業者は、必然的に、自身の商標、そして他人の商標についての留意が必要となってきます

特に、他人が商標登録をしている商標については注意が必要です。
知らぬ間に、これと同じ商標や似ている商標を使ってしまった場合、「商標権の侵害」となるおそれがあるからです。なお、この点については、商標調査を事前に行なうことで、ある程度は確認・回避することが可能です(※商標調査は、弁理士に依頼することができます)。

商標調査をして何も問題がなければ一安心ですが、いつ状況が変わるかわかりません。では、どうすれば良いのでしょうか。

自身の提供するオンラインサービスについて、安心・安全に商標の使用を継続したい場合は、やはり、その商標を商標登録することが重要であり、ベストな方法と言えます。



2.オンラインサービスに関する商標は目に付きやすい

インターネットを利用した場面のイメージ画像

このように商標登録の重要性を説くと、必ずと言っていいほど次のようなことを理由に、その必要性を軽視する方々がおられます。

「うちは小さい会社だから、必要ないでしょう。」
 「今まで、商標のことで何か言われたことなんてないし、
  しなくて大丈夫でしょう。」
 「うちが使っている名前なんて、誰もマネしませんよ。」

しかし、本当にそう言い切れるでしょうか。

オンラインサービスを提供するということは、誰でもアクセスできて、多くの人が利用するインターネットがより大きく関わってくることを特に意識すべきです。

たとえば、自分の提供するオンラインサービスを利用してもらうためには、そのサービスの存在を多くの人に知ってもらう必要があります。そのためには、特にホームページやSNSなどでたくさん宣伝・広告をすることになろうかと思います。その商標を覚えてもらえるよう、目立つように工夫しなければなりません。

一方で、それらの結果、多くの人の目に触れるということは、ライバルの同業者が目にする可能性も自然と高くなります

すると、もしも自身の使っている商標が、他のライバル達が商標登録をした商標と同じであったり、似ているものであったりした場合、商標権侵害を指摘されるリスクは必然的に高くなると言わざるを得ません

オンラインサービスに関する商標は、より目に付きやすく、知られやすいのです。悪い言い方をすれば、「やらかした場合にバレやすい」と言えます。

たとえ「小さい会社」だとしても、主に問題視されるのは使用の規模であり、事業の規模はあまり関係ないでしょう。相手方としては、自身のブランドや信用を保護するために、商標権を根拠として全力で対応してくるだろうと考えるのが現実的ではないでしょうか。

また、知られやすいということは、「マネされやすい」とも言えるでしょう。
ライバルの同業者にマネをされて使われたり、最悪の場合は勝手に商標登録をされたりするかもしれません。

自身がしっかりと商標調査や商標登録をしておけば、これらを防止することができます。こういった点からも、やはり商標登録は重要だと言えるのです。



3.オンラインサービスに関する指定役務の一例

オンラインサービスの利用イメージ画像

商標登録をするには、特許庁に出願手続をすることが必要です。
その際に提出する願書には、登録したい商標と一緒に、保護対象となる商品・サービスを記載します。商標登録は、「商標」と「商品・サービス」をセットで登録するイメージだと考えるとわかりやすいでしょう。

ここで記載する商品を「指定商品」、サービスを「指定役務」と言います。

それでは、オンラインサービスに関する商標について商標登録をする場合、どのような指定役務を記載することが考えられるでしょうか。

ご参考のために、最後にその一例をご紹介いたします。

※ご注意※
下記で掲載したものは、あくまで「商品・役務名検索」で検索できる役務の一例です(※2023年6月19日現在)。これらは、ごく一部の例にすぎません。実際に商標登録出願をする場合は、必ず自身の事業内容や商標に適した指定役務をあらためてご検討ください(たとえば、必ずしも「オンラインによる~」や「インターネットを利用した~」等と限定する必要がない場合も多々あります)

第41類
  • オンラインによる知識の教授
  • インターネットを利用した英会話の教授
  • インターネットを利用したフィットネストレーニング及びそのトレーニング方法に関する知識の教授
  • インターネットを利用したセミナーの企画・運営又は開催
  • オンラインによるゲームの提供
  • インターネットを利用して行う映像の提供
  • オンラインによる写真・映像・画像・動画又は映画の提供
  • オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロードできないものに限る。)

第44類
  • オンラインによる医療相談
  • インターネットを用いて行う医療に関する相談及び診断
  • インターネットを利用した健康診断
  • オンラインによる化粧の助言
  • インターネット又はテレビ電話を利用した美容に関するカウンセリング
  • インターネットを用いた美容に関する情報の提供

第42類
  • オンラインによるアプリケーションソフトウェアの提供(SaaS)
  • クラウドコンピューティングを介した仮想コンピュータシステムの提供
  • オンラインによる検索エンジンの提供

第45類
  • オンラインによる結婚又は交際を希望する者への異性の紹介
  • オンラインによるソーシャルネットワーキングサービスの提供

第35類
  • オンラインによる職業のあっせん
  • インターネットを利用した求人情報の提供
  • コンピュータネットワークにおけるオンラインによる広告


4.まとめ

オンラインサービスも、商標登録と関係があります。
インターネットを利用したサービスであっても、それに使う文字や図形などは「商標」になり得ます。そして、それらは商標登録の対象になり得ます。

今後も、オンラインサービスは、ますます増加すると予測されます。
他人の商標権を知らぬ間に侵害しないためにも、自身が使う商標についての商標調査が重要となります。

そして、自身の提供するオンラインサービスについて、安心・安全に商標の使用を継続したい場合は、やはり、その商標を商標登録することが重要であり、望ましいと言えるでしょう。

オンラインサービスに関する商標は、より目に付きやすく、知られやすいという点にも、注意しなければなりません。



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